週刊文春が報じた一連の『ダウンタウン』松本人志(60)の性加害疑惑で、テレビ業界に激震が走っている。松本は5億5000万円の損害賠償を求めて、文藝春秋と同誌編集長を提訴。裁判に集中するため、あらゆる活動を休止した。松本がレギュラーを務める7本もの番組が対応を余儀なくされたのだ。
松本と中居正広(51)のMCで’23年4月にスタートしたトークバラエティ『まつもtoなかい』(フジテレビ系)は、2月4日から中居と『嵐』の二宮和也(40)の新MCで『だれかtoなかい』にリニューアルされた。その他、『ダウンタウンDX』(日本テレビ系)、『水曜日のダウンタウン』(TBS系)は相方の浜田雅功(60)が一人でMCを担当することで継続。『人志松本の酒のツマミになる話』(フジ系)は今後、『千鳥』がMCを務める『酒のツマミになる話』としてリニューアルするという。
お笑い界のトップに君臨し続けてきた松本。数々の名番組、名企画をお茶の間に届けてきた「カリスマ」の不在は、テレビ業界にとってさぞかし痛手かと思いきや……聞こえてきたのは意外な声だった。
「少なくとも、私の周りで松ちゃんの活動休止を嘆いているテレビマンはひとりもいません」と言うのはキー局ディレクターである。
「松ちゃんって、面倒くさいんですよ。収録現場では機嫌も愛想も悪いし、MCなのに進行をほどんど覚えてくれない。それでいて『あれしろ、これしろ』と言うから、仕事が増えるんですよ。大御所はみんな、そんなもんかもしれませんが……松ちゃんの番組、私にとっては“苦行”です」
働き方改革でかなり改善されたとはいえ、テレビの現場がハードなのは周知のとおり。そんな彼らにとって、少なからずモチベーションとなっているのが「子供の頃に憧れたあのタレントさんと番組作りができる!」という喜びなのだが――制作会社スタッフは静かに首を振った。
「子供のころから見ていた松ちゃんと仕事ができる! とテンションが上がったのは最初だけ。松ちゃんと関わるのは上層部のスタッフばかりですから。僕らは現場で目が合うこともほとんどない。ほんとに空気みたいな扱い。毎回、トークは面白いし、番組も盛り上がるので、そこはさすがだなと思いますけど、収録現場のピリつきが半端ない。松ちゃんの現場はしんどいんで、なくなってどこかホッとした自分がいます。ギャラもメチャクチャ高額だし、彼の不在で数字が激減していないのなら、局の上層部もウハウハじゃないですか?」
「天才」松本人志はいつしか、「裸の王様」になりつつあったのだろうか。
コンプライアンスや炎上対策に奔走する昨今のテレビ業界は、出演者の意向に沿ったエッジの利いた演出も、尖った企画もできなくなった。さりとて、清廉潔白なタレントでは笑いは取れない。テレビマンの手を煩わすことなく、ギリギリの線で勝負してくれるバランス感覚の優れたタレントが歓迎されているのだ。
テレビ業界の黄金期を知る放送作家の鈴木おさむ氏は先日、「自分が老害だと思った」と引退を発表。「松本人志の代わりは必ず現れる」と断言している。
元テレビ東京の名物プロデューサー、高橋弘樹氏のユーチューブチャンネル『ReHacQ-リハック-』に出演した際、鈴木氏は「島田紳助が引退したことになって、マツコ・デラックスがブレイクした。松本人志と全く同じ代わりはいないが、空いた穴を埋められる人が必ず出てくる」と持論を展開した。
後輩芸人たちからのリスペクトの声は絶えない。はたして、裁判が決着したそのときに、テレビ界に松本人志の「席」はあるだろうか。
FRIDAY 2/12(月) 12:00
続きを読む
Source: 芸能トピ