プレミアム会員は、混雑時も高画質再生、動画広告非表示などの特典が提供されている有料プランだが、会員数は減少傾向にある。
KADOKAWAグループの決算説明資料によると、プレミアム会員数がピークを迎えた2016年9月末時点の256万人から年々減少し、2023年9月末時点では128万人。7年で半減したことになる。もちろんサービス維持のためには値上げが必要だという判断だろうが、プレミアム会員であり続けたユーザーからは、解約を検討する声も上がっている。
IT企業勤務の30代男性・Aさんは長年プレミアム会員だったが、今回の値上げ発表で「解約するかどうか迷っている」と明かす。
「サブスクが多数ある中で、値上げは耳の痛い話です。毎日使うものなら継続を迷わないんですが、現実的には、動画サービスでは圧倒的にYouTubeを見ていて、ニコ動(ニコニコ動画)にはほとんどアクセスしていない。月に一度も見ないときもある、というような使い方なので、ちょっと考えてしまいますね」
「ニコニコ」は、引き留めのための施策やお得プランなども発表している。プレミアム会員向けに2024年2~4月までの3か月間、ニコニコポイントを毎月配布。年額払いにすれば月額換算で659円になるというプランも提示している。それでもAさんが悩む背景には、同価格帯の“ライバル”の存在がある。
「ネトフリ(Netflix)の『広告つきプラン』が月額790円。動画配信サービスでも方向性が違うので、単純に比較するのは難しいとは思いますが、ニコ動よりもネトフリの方が見たいと思えるコンテンツが充実してそうなイメージが……」(Aさん)
価格改定とともに発表されたアップデート施策である「エコノミーモードの撤廃」もプレミアム会員の解約につながる可能性がある。これまで一般会員・未ログインで、混雑時間帯に動画を視聴した場合、低ビットレートでの視聴を余儀なくされてきたが、2024年3月からはいつでも最高720p画質で視聴できるようになる。
メーカー勤務の20代男性・Bさんは、エコノミーモードの撤廃により「課金する意味が薄れる」と感じている。
「プレミアム会員には、広告非表示、バックグラウンド再生・限定動画や高画質視聴が可能などの特典があります。どの特典に価値があるかは人によって違うでしょうけど、私が惹かれたのは高画質視聴でした。
プレミアム会員では最高1080p画質で見られるとはいえ、720p出るなら十分。プレミアム会員を継続しなくてもいいかなという気持ちになりますね」
Bさんは「これまで一度も値上げしなかったことには感謝しかない」としたうえで、改定後の価格が「高い」と感じる理由を明かす。
「ガッツリ使うわけではなく、暇つぶし程度の利用ではちょっと高いなと感じてしまいます。私のように、以前はニコ動に熱中していたけど、現在はYouTubeメインで、ニコ動は時々覗く程度というユーザーにとって、値上げ後の価格は視聴も配信も使いこなしている人用になるのかなという印象です」(Bさん)
■1100円から1340円になるプレミアム+dアニメ
金融機関勤務の30代女性・Cさんは、アニメ動画のサブスク「dアニメストア ニコニコ支店」とともにプレミアム会員に加入しているが、一旦解約することを検討している。
「ニコニコのプレミアム会員が値上げになることで、プレミアム+dアニメが1100円から1340円になります。もともとプレミアム会員で、アニメをコメントありで見てみたいと思ってdアニメに入り、ニコ動をあまり利用しないのにそのままになっていました。
コメントが流れる文化は好きなんですけど、実際はdアニメだけで十分なんですよね……。今のところ、解約しようかと思っています。値上げは加入する配信サービスを見直すきっかけになりますよね。今後魅力的なコンテンツとか、お得なプランなどが出てきたらまた考えたいと思います」
動画配信サービスのサブスクがあふれる今。価格改定を余儀なくされた「ニコニコ」は、ユーザー離脱を食い止め、さらなる成長に舵を切ることができるのか。(了)
マネーポストweb2023.12.12 16:00
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Source: 芸能トピ