同番組ではフジテレビの現役・元社員77人を調査し、性加害に関する報道を回顧。ジャニー氏のセクハラ問題を報じた「週刊文春」の重要な部分を認めた2003年の高裁判決、さらにその判決が確定した04年の最高裁決定を同局では報じなかった。今年3月には英BBCがジャニー氏に関するドキュメンタリーを放送し、性加害問題が明るみに出た。同4月12日に元ジャニーズJr.のカウアン・オカモト氏が記者会見で性被害を訴えたが、同様に報道しなかった。
フジテレビが性加害問題について最初に報道したのは4月23日。これについて報道局長の渡邉奈都子氏がスタジオで説明し「まず性加害、特に男性に対する性加害について私たち報道関係者の意識、認識が著しく低かったというのが今回の調査で改めて分かりました。通常のニュースで扱う案件ではなく、芸能ゴシップですとかスキャンダルである古い価値観が根底にありまして、報道として取り上げるべきか否かという議論にすら至っていなかった。未成年に対する性加害という重大な問題、人権問題に関する感度の鈍さは、被害に遭われた方々の心情を考えますと、報道に携わる者として深く反省しております」と謝罪した。
また番組では、報道局に旧ジャニーズ事務所への配慮についても検証した。「こんな例もありました」というナレーションとともに、過去のある出来事を説明した。フジテレビでは旧ジャニーズ事務所の所属タレントが逮捕されたことをいち早くつかみ、他社に先駆けて報道する準備をしていたが、「報道と編成との協議と調整が行われる中で、逆に他社よりも報じるのが遅くなってしまった」いう。当時の現場の記者は「一番先だと思っていたのに、遅れをとる結果となり、正直がっかりした。残念に感じたという気持ちだったと思う」と回顧した。
これについて番組では、歴代の報道局幹部に聞き取りを行った。ある幹部は「事務所への配慮や忖度(そんたく)はあったと思う。慎重にしなければいけない雰囲気はあった」とコメント。別の幹部は「ドラマやバラエティーのキャスティングなどに大きく影響するかもしれない、と思い消極的になることがあった」と振り返った。
スタジオで報道局長の渡邉氏は「報道すると判断したニュースについて、それをやらないということはない」としながらも「ただ明らかに、旧ジャニーズ事務所に対する気遣いや配慮は報道にもあった。それは認めざるをえません。その結果、先ほどもお伝えした通り、報道が遅れてしまったという案件があったことは忸怩(じくじ)たる思いです。このようなことを繰り返すことはできないと思っています。今後しっかり、襟を正しくしていきたいと思います」と語った。
2023年10月21日 15時3分
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Source: 芸能トピ