個人視聴率のデータを見ると、20年と比べて特に数字が落ちたのは若年層だ。紅白の第2部では、男女4〜12歳は21・2%(20年)→13・5%(昨年)で7・7ポイント減、M1層(男20〜34歳)が19・5%→12・9%で6・6ポイント減、F1層(女20〜34歳)は25・0%→20・0%で5・0ポイント減と、それぞれ大幅に下落した。ほかの年代も数字を下げているが、M3層(男50歳以上)は4・4ポイント減、F3層(女50歳以上)は3・8ポイント減と、若年層に比べれば幅は小さかった。
視聴率が下落した一方で、テレビ視聴者全体を100として、そのうちどれだけの人がNHKを見ていたかの割合を示す「占拠率」では大きな変化はなかった。第2部の個人視聴率の占拠率データでは、20年が55・1%、昨年が54・5%。0・6ポイントの微減だった。20年も昨年もテレビをつけていた人の中で紅白を見ていた人の割合はさほど変化がなかったことになる。つまり、紅白から他番組へ視聴者が流出したのではなく、テレビを見なかった人が単純に増加したということになる。
その多くが若者であったことは、個人視聴率のデータから見て取れる。紅白の制作サイドは若年層の取り込みを考えて、藤井風やYOASOBIら若者に人気の歌手を派手に登場させたが、大きな効果は得られなかった。
ただ、視聴率の下落について、NHKには「裏番組の影響も大きいのでは」と話す局員もいる。裏番組とは、日本テレビのことだ。
日テレが20年まで15年連続で放送していたモンスター番組「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!」の「絶対に笑ってはいけない」シリーズが昨年は放送休止。代わって放送されたのが「笑って年越したい!笑う大晦日」だった。平均世帯視聴率は、20年の「笑ってはいけない」の第1部(後6・30〜9・00)が17・6%、第2部(9・00〜深夜0・30)が14・1%だったのに対し、笑って年越ししたいは第1部が7・2%、第2部は5・6%。紅白以上に大きく視聴率を下げた。
これがなぜ影響するのか。あるテレビ局の編成担当者は「紅白や笑ってはいけないのような長時間番組は、ザッピングしながら見る人が多い。特に民放はCMが入るので、CM中に紅白にチャンネルを変える人も多い。だが、昨年はテレビを見る人自体が減ってしまった。ザッピングの効果も得られなかったのだろう」と説明した。特に日テレは若者が見ていた番組だった。
テレビ離れが進み、もはや「どの局の番組を見ようか」という時代ではない。バラエティー番組の制作担当者は「“テレビを見るか、配信サービスを見るか、ゲームをするか”などと、娯楽の選択肢が増えている。言ってしまえば、ライバルは他局ではなく、スマートフォン。テレビ業界全体で、どうすればテレビを見てもらえるのかを考えていかなければならない」と危機感を募らせている。
「大みそかは家族で紅白を見る」という時代は遠い昔。子供の頃から紅白を見ていない世代が、これからも増えていくのは間違いない。その中で紅白がどう生き残っていくのか。まずは「どうすればテレビを見てもらえるのか」を考えていく必要がある。
1/6(木) 8:00
スポニチアネックス
視聴率大惨敗の紅白歌合戦 若者が見なくなった理由とは
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Source: 芸能トピ