『THE FIRST SLAM DUNK』はすでに興収110億円を突破し、最終120億円超えさえ見込まれる勢いを見せているのに対して、100億円が期待された『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』は、前作『アバター』(156億円/2009年)の3分の1以下となる42億円にとどまり、ブラッド・ピット主演の大作『バビロン』も大コケの様相を呈している。
この20年来続く日本映画市場の課題であった洋画人気の低迷と洋画ファン人口の減少が、コロナでより拍車がかかっていることが鮮明に浮かび上がった。
2000年から現在までの日本の洋画興行を新著『アメリカ映画に明日はあるか』で考察する映画ジャーナリストの大高宏雄氏は、「映画館で洋画を観る観客は年々確実に減っている。このままでは下降傾向から逃れられない」と警鐘を鳴らし、映画館で洋画を観る文化の存続に危機感を募らせる。
昨年は『トップガン マーヴェリック』(136億円)の大ヒットと、コロナによって公開が延期されていた大作シリーズ続編が一気に公開されたことで盛り上がりを見せたかに見える洋画シーンだが、邦画と洋画の年間興収シェアは68.8%と31.2%。コロナ禍の2020年(邦画76.3%)、2021年(邦画79.3%)からは持ち直しているものの、邦高洋低の近年の傾向は変わらず、むしろより深刻になっている。
振り返ると1990年代は洋画が7割で邦画が3割の「ななさん」と言われた洋画全盛の時代だった。トム・クルーズ、ブラッド・ピット、レオナルド・ディカプリオ、キアヌ・リーブスらハリウッドスターが出演する大作の多くが大ヒットし、日本映画市場を牽引。洋画が強い時代が続いていた。
洋画興行は、2つの層の動員からなる。1つはシリーズ続編など名の知れたハリウッド大作の話題性で動く不特定多数の一般層。もう1つは、中級ヒット(10億円クラスのヒット)を支えるウェルメイド(出来や構成がよい)なアメリカ映画好きの洋画ファン層。前者は毎年数本はあるハリウッド大作の当たり外れによって動員の上下はあるものの、話題作には動く。一方、後者の洋画ファンは近年じわじわと減少しており、洋画興行を下支えしていた中級クラスのヒット減に歯止めがかからない。それが2006年以降の洋画シェアの縮小傾向に表れている。
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それに加えて、大高氏はハリウッドスターの不在も洋画不振の大きな要因として挙げる。
「1990年代は俳優の名前で観客を呼べるスターが何人もいたが、いまやそんなスター主義は滅び、トム・クルーズだけが王道のスター性をつないでいる。彼1人だけでは興行は伸びない。いろいろな外的要因はあるが、スターを生み出せなくなったことが洋画衰退の根本にある」
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趣味嗜好が多様化し、分散するなか、名前で不特定多数の観客を呼べるハリウッドスターの不在はいまの時代のデフォルトになっている。そんな時代性のなか、洋画はファンの減少に対する有効な打開策を打てていないのが現状ではないだろうか。
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2023/03/08
https://toyokeizai.net/articles/-/657476
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Source: 芸能トピ