映画界志望だったが、CM界からテレビ界へ
五味「普通のサラリーマンは卒業すると、もう会社には一切来なくなるじゃないですか。でも僕の場合はまだ日テレで収録とかがあるので、卒業感があまりないんですよ」
総合演出とプロデューサーを務めた「エンタの神様」は特番が5月に放送された。人気番組なので、また制作されるに違いない。スーパーバイザーを務めた「クイズ!あなたは小学5年生より賢いの?」(金曜午後7時)はレギュラー放送中だ。
半面、退社したので他社の仕事も可能。既に複数のオファーがある。今後は日テレと他社の仕事を並行して手掛けることになりそう。
五味「ありがたい話です」
テレビ界で知らぬ者はいない超大物制作者だが、当初は映画界志望だった。このため、早稲田大に入学したものの、日大芸術学部に転学。卒業後は東映に入社した。
五味「ところが映画会社が自社制作をほとんどしていない時期で、配属はCM部でした」
その後も東映で映画を撮る機会は訪れなかったものの、このCM部でのディレクター経験が、秒単位で映像を大切にする緻密な番組づくりに結びついた。
「クイズ世界はSHOW by ショーバイ!!」誕生秘話
1987年4月、30歳で日テレに中途入社。この経験者採用試験には約4000人が応募したが、トップの成績で合格した。
五味「10カ月間、CM部に籍を置いた後、制作へ。新しいクイズをつくるプロジェクトに加わりました」
そして、つくり上げたのが最高視聴率26.9%(関東地区の世帯視聴率、ビデオリサーチ調べ、以下同)を記録した「クイズ世界はSHOW by ショーバイ!!」(1988~96年)。タイトルから考え、演出した。この番組から黄金期だったフジテレビに対する日テレの猛反撃が始まった。
五味「『ミリオンスロット』の仕組みから、クイズの1つである『何を作っているのでしょうか?』まで、いろいろ考えましたよ」
「ミリオンスロット」は解答者がボタンを押すとスロットマシーンが止まり、正解時に獲得できるショーバイマネー(5萬、10萬、20萬などのポイント)が決まった。同じクイズに正解しても解答者によって獲得できるマネーが違った。ここが新しく、ミソだった。このクイズは解答者が知力を競うだけでなく、その運も争った。
五味「当時はパチンコとかゲームのデジタル化が進み、スロットのような射幸心をあおるものがはやっていたので思いつきました。僕はもともとゲーム的なものが好き。ゲーム会社の『TAITO』に何度も足を運び、システムを開発したんです」
クイズ「何を作っているのでしょうか?」のコーナーはある商品の製造過程の映像を解答者に見せ、それが何かを当てさせた。今もテレビ朝日「ザワつく!金曜日」(金曜午後6時50分)でほぼ同じ企画が放送されている。
五味「このクイズは自分の小学校の時の社会科見学の経験から思いつきました。地元の漬物工場に行ったら、何十トンもありそうな石を重機で持ち上げ、たくあんとかを漬けていた。意外で面白かったので」
簡単に言ってのけるが、最初に思いつくのは難しい。文字通りコロンブスの卵だった。
2022年10月26日
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Source: 芸能トピ