日本人女性がわざわざ世界各地の辺境に移り住んだのは、本人の意思ではなく、旧統一教会の「合同結婚式」で強制移住させられたからだった。
「全国霊感商法対策弁護士連絡会」は2016年5月、テレビ東京系の番組「世界ナゼそこに?日本人」に多数回、旧統一教会の日本人女性信者を登場させ、虚偽の事実を織り交ぜた物語を創作しているのは問題だとして、申し入れ書を送付している。旧統一教会信者を登場させた番組の放映日時、テーマ、番組スタッフが制作した虚偽事実の内容について回答を求めた。
「世界ナゼそこに?日本人」は、世界各地で暮らす日本人を感動的に取り上げ、波瀾万丈な人生を紹介する人気番組だった。
例えば、重病を抱えながら内戦が続くウクライナに住む日本人女性に密着した放送(16年3月7日)では、日本人女性は米国の大学に留学し、そこで知り合ったウクライナ人男性と恋愛して結婚したと紹介。取材時は別のウクライナ人夫婦の住宅に、厚意で住まわせてもらっているということだった。
ところが申し入れ書では<ウクライナ人男性がアメリカに行った事実も、そこで日本人女性と知り合った事実も存在しない。一緒に暮らすウクライナ人夫婦も統一教会信者であって、信者同士が集団生活を送っている>としている。
要するに、ウクライナに渡った日本人女性も夫も旧統一教会の信者であり、他の信者と集団生活しているのが実態だ、という指摘である。
番組を見た多くの信者たちが、自身のSNSなどで仲間の海外での活躍ぶりを称賛するなど、「世界ナゼそこに?日本人」は、信者向けの格好の宣伝材料になっていたという。
テレビ東京に申し入れ書を送った渡辺博弁護士が、こう経緯を説明した。
「元信者から『信者が出演しています』『番組制作者が、統一教会に頼んでネタを提供してもらっている』という情報があった。調査の上、内部事情に詳しい人物に確認したら『合同結婚式で海外に移住したのが事実であり、現地で恋愛したなんてウソ』と報告してくれた。ちょっと酷いんじゃないかと思い、申し入れを行った」
テレビ東京は旧統一教会の支援を受けて、番組を作っていたのか。同局の広報局は日刊ゲンダイの取材にこう回答した。
「2020年3月まで放送していた『世界ナゼそこに?日本人』は、世界各地で懸命に生きる日本人の姿を紹介する番組でした。当時、世界平和統一家庭連合(以下、旧統一教会)の信者が出演されたことは事実ですが、旧統一教会から情報を得て番組を制作したことはなく、特定の宗教を意図的に取り上げたわけではありません。番組で紹介した方のプロフィール等は、ご本人に取材した結果に基づいたもので、番組制作者が虚偽の事実を織り交ぜて番組を制作したことは一切ありません」
合同結婚式によって海外に強制移住させられた日本人女性信者は、約1万人に上る。多数の女性信者が番組に出演していたとしたら、果たしてそれは偶然なのだろうか。
日刊ゲンダイ2022/07/23 15:04
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/308660
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Source: 芸能トピ