ネット上では「女性はもちろん、娘を持つ男性も不安になる広告」「これが全国紙の全面広告になることでげんなりする人は少なくない」「女子高生を癒しの対象にし、それを日経が後押しすることへの違和感が大きい」などと批判が相次いでいる。
ハフポスト日本版は、メディアが抱えるジェンダー問題に詳しい東京工業大の治部れんげ准教授に取材した。今回の全面広告の視点が「未成年の女性の肉体に欲望を抱く男性」のみに偏っているなど3つの問題点を指摘。「広告のジェンダー平等化」を推進してきた日経新聞のメッセージとの矛盾について「全て偽善だったのでしょうか」と厳しく批判した。
広告掲載は「元気になってもらうため」
今回問題になった広告は、比村奇石さんの漫画『月曜日のたわわ』の単行本最新刊をアピールするものだった。講談社の「週刊ヤングマガジン」で2020年11月から連載しており、2022年4月4日に単行本第4巻が発売された。
コミックナタリーは同作を「月曜日が憂鬱な社会人に向け、豊満な体型をした女子を中心に描かれるショート作品」と紹介する。
単行本1巻収録の「アイちゃん」のシリーズで何度も描かれるのは、電車内で女子高生が男性会社員に胸を押し付ける場面。男性会社員は、この女子高生と会える通勤時間を「もはや憂鬱な月曜日の朝に無くてはならない癒し」と捉えている。
全面広告で描かれた女子高生について、作中で男性会社員はこんな視線を向ける。
「いけないとは思いつつも 誰もが一度は目を奪われるーー
たわわに実った二つの膨らみが 少女らしく華奢な体をアンバランスに飾り立てる
男好きする設定が 制服を着て歩いているような少女」
この少女が日経新聞の読者を励ますように語りかける構図の全面広告。掲載した意図はなんだったのか。
ヤングマガジンはコミックナタリーに「4月4日は今年の新入社員が最初に迎える月曜日です。不安を吹き飛ばし、元気になってもらうために全面広告を出しました」とコメントしている。
ネット上で相次いだ批判を踏まえ、講談社はハフポスト日本版の取材に「この度の広告は新たな読者開拓のため新刊発売に合わせて出稿いたしました。いただいたご意見については真摯に受け止め、今後の宣伝展開に関して十全の配慮をしていきたいと思います」と回答した。
全面広告、3つの問題点は?
東工大の治部准教授は、今回の全面広告の主な問題点を3つ指摘する。
1つ目は、あらゆる属性の人が読む最大手の経済新聞に掲載されたことで、「見たくない人」にも情報が届いたことだ。
「読みたい人がヤングマガジンを手に取って読むことは、今回の問題ではありません。それよりも、女性や性的な描写のある漫画を好まない男性が『見たくない表現に触れない権利』をメディアが守れなかったことが問題です」
ネット上では、はからずも「見たくない表現」に日経新聞の朝刊で出合ってしまった読者が、購読の解約を表明する動きも出ている。治部准教授は「広告によって与えられた媒体のイメージはすぐには払拭できません。どのような広告を載せるかは、メディアにとってのリスクにもつながります」と話す。
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_624f8d37e4b066ecde03f5b7
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Source: 芸能トピ