「常識がない芸人は大成しないんだよ」北野武が語る“お笑い”論

エンタメ
1: なまえないよぉ~ 2024/01/26(金) 11:37:37.29
 タレント・ビートたけし(77)。芸歴50年を超える言わずと知れた大ベテランだ。80年代の漫才ブームでツービートとして活躍していた頃から“毒舌”トークでお茶の間をわかしてきたが、そんなたけし本人は「お笑い芸人こそ常識が必要」と語る。その理由の一端を、1月30日に上梓する新刊『人生に期待するな』から抜粋してお届けする。

お笑い芸人に常識が必要な理由

 よく芸人が非常識なことを言ったりやったりしたとき、芸人なんだからしょうがない、なんて擁護にもなんないことでまとめようとするヤツがいる。だけど、お笑い芸人に限っていえば、常識がない芸人は大成しないんだよ。

 なぜなら、笑いってのは、常識的な日常の中に潜んでいるもんだし、常識がないと笑いとヤバい発言とのギリギリの際がわからないからだ。

 常識を持つっていうのはけっこう難しくて、芸人じゃない一般人にも常識のないヤツはけっこう多い。一般常識っていうように、誰でも知ってることを知ってたり、一般的な礼儀作法を知ってたり、冠婚葬祭なんかの場面場面にふさわしい立ち居振る舞いができるのを常識があるというわけだからね。

誰かの不幸を笑いにするときだって

 一般常識以上のことを無理に知る必要はないけど、オイラなんかは好奇心が旺盛だから、例えば対談相手がノーベル賞を受賞したような研究者だったら、その人の研究のとっかかりくらいは知っておきたいと思って対談に臨む。別に芸人だとバカにされたくないからじゃなくて、自分自身が興味あるからなんだけど、そんな偉い先生にも冗談を言ったりできるのは、やっぱり相手の考えてることとか業績なんかを知ってないとダメなんだよ。

 誰かの不幸を笑いにするときだって、自分の中に常識っていう一種の物差しをもってないと、笑いにならない侮蔑になって周囲をしらけさせちゃうこともあるわけだ。 冠婚葬祭なんかでの常識的な振る舞いがどんなものかを知らなかったら、その逆をいって笑いにしたり、ギリギリ言っても大丈夫なこととさすがにそれはアウトだろって際もわからない。本質を突いているようで、ギリギリのところで笑いに逃げるってのは、お笑い芸人にとって大切な技術なんだけど、常識がないとできないんだよ。

笑っちゃいけないという状況だからこそ

 ごく普通の日常の中に潜んでいる笑いの種を見つけたり、笑いをそっと忍び込ませることもテクニックの一つだけど、厳粛で緊張感漂う場面にこっそり入り込んでくるような笑いもある。人間ってのは、本当は笑っちゃいけない状況でも笑ってしまう動物なんだよ。

 笑っちゃいけないって思えば思うほど、笑いがこみ上げてきて自分でも制御できなくて困るなんてよくあることだ。そうした場面設定で、どんな笑いが効果的なのかは、やっぱりごく普通の日常をよく観察したり、常識をよく知らないとダメなんだよな。

 例えば、新郎新婦が両親へ感謝を伝える結婚披露宴の感動の場面で、BGMを流す機械が壊れちゃって、「ネコ踏んじゃった」が延々と繰り返されてスタッフが焦ったり、葬式で正座してたから足がしびれて焼香できなくなって七転八倒してる親戚のオッサンの姿を不謹慎だから笑うに笑えないほかの列席者とか、そういう厳粛で緊張感漂う状況に場違いなことが起きるからおもしろいんだ。

 笑っちゃいけないと思いつつ、どうしようもないってのが人間で、そこに笑いの本質がある。

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Source: 芸能トピ

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