そして、「テレ東を訪れた五郎は、年末特番に出演してもらえないかと無茶ぶりの相談を受ける(一部中略)」という書き出しからして、いよいよ五郎さんと、演じる松重豊の同化が顕著になってきた今年の「大晦日スペシャル」。でもそれがいいのだと思うのである。まるでそれは、私たちが井之頭五郎であり、井之頭五郎が松重豊である証明のようで。
『孤独のグルメ』は、美味しい食べ物と、人との出会いを楽しむドラマだ。そして、「誰にも邪魔されず気を使わずものを食べるという孤高の行為」であるところの「独食」の自由を知っている人は、その反対も知っているということを実感させられるドラマでもある。本作は言うまでもないが、「ドラマパート」と「グルメパート」の2部構成からなっている。
『孤独のグルメ』はグルメパートだけでは成り立たない。なぜなら、グルメパートに直結するドラマパートこそが、本作の根幹部分を担っているからだ。ドラマパートにおいて示される、仕事をする五郎の姿。それはどこか、私たちが、仕事を通して他者と関わる、日々の姿に似ている。
多くの場合、五郎は、クライアントの強引な依頼を、ムチャブリだよ、困ったなあと嘆きつつ引き受ける。そしてその先で、たくさんの個性的な人々と、美味しいご飯と出会ったりして、物語が動く。「大変だったけど良かった」そんな実感が『孤独のグルメ』にはあって、その面倒だけど楽しい仕事ぶりと、だからこそ余計に沁みる、その土地で出会う一期一会の美味しさという過程そのものが、本作が「飯テロドラマ」の元祖であり王者であり続ける理由なのではないだろうか。
続きはYahooニュース 2023/12/31 リアルサウンド
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Source: 芸能トピ