スタッフに激怒? 旧アニメの問題点
大前提として、旧アニメ版に和月は深く関わっていない。放送当時、和月は同作を週刊連載中で多忙を極めていたため、あくまで出来上がったものに意見する程度だったという。
そのため、スタッフやキャストに対して少なからず不信感があったようだ。新アニメ公開に先立ち、アニメ公式X(旧ツイッター)で公開されたコメントでは、《今作は信頼できる新スタッフ》《忖度一切なしのガチ選考で選ばれた実力派新キャスト》といった言葉が綴られていた。
さらに重要なのは、旧アニメが放送されていた当時、単行本で和月が語っていた内容だ。
まず10巻に収録された第76話では、「演出の間の悪さ」「脚本の詰めすぎ」「赤面モノのサブタイトル」などを挙げ、かなり直球の批判を繰り広げていた。しかも和月は当時、スタッフに「キツい事を言った」こともあったそうだ。
それだけでなく、CDブック版から旧アニメ版でメインキャストが声優されたことも、和月にとってはモヤモヤする出来事だったようだ。第78話と第80話では、CDブックで声優を務めた緒方恵美や関智一への謝罪文が書かれている。
とくに緒方に関しては、TVアニメ版の巻町操役として再登場させたいと和月は希望を綴っていた。しかし、実際には櫻井智が操役を演じており、その希望は叶わなかった。
新アニメは理想通り?
旧アニメ版の放送が始まったのは、1996年のこと。和月にとってこの年は波乱万丈だったらしく、同年に発売された13巻のカバー袖では、「96年を振り返って 本気でブチ切れたコト三回 一つはどうしても納得いかず、一つはどうしても譲れず、一つはどうしても許せなかった」と気になる内心を吐露していた。
ただ、2年半という長いスパンで放送されたアニメなだけあって、徐々に和月の理想に近づいていったようだ。
放送の折返しとなる1997年に発売された15巻では、「安心して、毎週見れるようになりました」という言葉を残している。とはいえ、その後、本腰を入れた完全新作アニメに携わるということは、やはり胸の奥底には後悔の念がわだかまり続けていたのかもしれない。
ところで和月は旧アニメ版の問題点として、初期に登場する敵キャラクター・鵜堂刃衛の扱いについて苦言を呈していた。彼と剣心が戦うエピソードが、2話分の尺で終わったことに不満があったらしい。
しかし和月自身が監修した新アニメでも、鵜堂刃衛のエピソードは旧アニメ版と同じ2話構成で終了している。自身がアニメ制作に関与する立場になり、あらためて漫画をアニメ化することの難しさを実感しているのかもしれない。
ともあれ、新アニメでは細かいところまで原作が忠実に再現されているため、原作ファンにとっては出色の出来。和月が夢見た“理想のアニメ”が、視聴者にも受け入れられることを期待したい。
続きを読む
Source: 芸能トピ