家康(松本潤)にとって生涯最大の危機とされる「伊賀越え」が描かれ、本能寺で信長を討った明智光秀(酒向芳)が、落ち武者狩りで命を落とすシーンもあった。
2020年の大河『麒麟がくる』とは打って変わって、すがすがしいほどの悪キャラとして描かれた、今回の光秀。SNSには《あまりにも明智光秀のキャラが酷すぎて!感動した麒麟の光秀を返せ!》との声まである。
では、このドラマを光秀の末裔はどのように見ているのか――。
歴史研究家で『本能寺の変四二七年目の真実』(プレジデント社)などの著書がある、明智憲三郎氏に聞いた。
「もちろん『どうする家康』は観ています。史実とあまりにもかけ離れているなどと言われ、世間的な評判はあまりよくないとも聞きますが、私はそうは思っていません。
史実をどう咀嚼するのか、歴史の解釈というものは、ドラマの場合、おもに脚本家によるものだと思いますが、この『どうする家康』に関しては、ああいう視点はあり得ると思いますし、いいセンスだと思うんですよ。
たとえば、家康の妻が武田側と通じていた、その動機ですね。荒唐無稽だという批判も多いようですが、そんなことはない。実際に、武田と北条、今川の同盟は存在していたわけで、それを踏まえて考えれば、あの動機(武田と同盟を組んで平和な世をもたらす)は、突飛でも何でもないと思います」
光秀に関してはどうか。
「正直なところ、がっかりしています。悪者として描かれたからではなく、あまりにも旧態依然とした光秀だったからです。この脚本家は新しい視点を持っていると思っていたので、その点は残念です。
明智の末裔というより、研究して本まで出している身としては、歴史をどう解釈して世に出してくれるか、その点を注目していますからね。
そういう意味では、3年前の『麒麟~』は、正直言えば、あまりうれしくはなかった。ドラマのトーンとして、光秀を英雄的に描き、一般的な光秀の人物像をある程度変えてくれたという意味では感謝していますが、話の中身としてはそれほど新しいことはなかったですから」
歴史研究家として、『どうする家康』で注目した点があるという。
「10年ほど前、私が研究で明らかにしたことが採用されています。ひとつめは、上洛時の光秀の身分。信長と足利義昭に “両属” していたというのが定説ですが、『麒麟~』で初めて、上洛時は義昭の家臣だったとされ、それが今回も採用されています。今後もこれが定着することに期待しています。
もうひとつは、信長の小姓・森乱丸について。これまでは『蘭丸』が一般的でしたが、今回は『乱丸』を採用しています。画期的なことだと評価しています。
『麒麟は~』は、その題名から、藤堂裕氏の『信長を殺した男』が原案となると期待して見ていたのですが、そうではなく、落胆が大きかった。
一方『どうする家康』は、何も期待せずに見ていたぶん、甲相駿三国不戦同盟や乱丸が出たことによって、評価は高くなりました。本能寺の変の旧態依然とした描き方は残念でしたが」
光秀の末裔の評価は、意外にも、『麒麟~』より『どうする家康』の方が高かった――。
https://news.yahoo.co.jp/articles/0644609eb7446d2b598b73832132e14970f06a50
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Source: 芸能トピ