大河ドラマでは24年の作品が平安時代に「源氏物語」を著した紫式部を描く「光る君へ」だとすでに発表されている。大河ドラマでは戦国時代や幕末といった武士の世界が描かれることが多かったため、そうした点からも注目を集めている。
大河ドラマで2作連続で「文化人」が描かれることには、どのような意味があるのか、J-CASTニュース編集部は「ネットと朝ドラ」の著書で知られるライターの木俣冬氏に意見を求めた。
■「変わり種」作品は、長い歴史を持つ大河ドラマには必要
2作連続文化人については、その点に着目した複数の報道があったほか、ツイッターでも、「二作続けて戦わない大河だ コンプリートするか」「来年再来年と毛色の違う文化人大河が続くぞ~楽しみだな」といった声が出ている。
木俣氏は、現代で言えば作家にあたる紫式部、出版プロデューサーに相当する蔦屋重三郎という文化人2人が2作連続でテーマとなるのは大河ドラマでは確かに珍しいと指摘しつつ、24・25年の状況に近かった例が、かつて2回あったと明かす。
「1つ目は兵学者の大村益次郎を描いた1977年の『花神』、翌年の78年には桃山時代の商人・呂宋助左衛門を描いた『黄金の日日』が2作連続しており、このパターンに近いと言えるかもしれません」
ただ、同時に木俣氏は「大村益次郎は元武士なので厳密には違いますね」としつつ、もう1つの例がより今に近いのではないかと指摘する。
「2つ目はオリジナル人物の日系二世を描いた84年の『山河燃ゆ』、日本初の女優・川上音奴を描いた85年の『春の波濤』、オリジナル人物の女性医師を描いた86年の『いのち』と、3年にわたって武士が主人公ではない近代三部作を制作した時でしょうか。ただ、三部作の後は『独眼竜正宗』『武田信玄』『春日局』と武士ものに逆戻りしているので、一旦、目先を変えてみることも、長い歴史を持つ大河ドラマには必要なのでしょう」
■「戦ものの大河には興味を示さない新しい視聴者を呼び込む可能性もあります」
木俣氏は令和となったこの時代に2年連続文化系主人公が続くことについて、「戦で世の中を切り開くのではなく、物作りで世を切り開くということ」が、今の日本に求められていると制作陣が考えたからではないかと感じたとする。
あわせて、「光る君へ」が大河ドラマに新たなるインパクトをもたらす可能性を示した。
「後世に長く残り、世界に通じる作品を作ってきた人物に焦点を当てることで、戦ものの大河には興味を示さない新しい視聴者を呼び込む可能性もあります」
最後に木俣氏は、先述した近代三部作の1つ目となった84年放送の「山河燃ゆ」の前年となる83年は「徳川家康」が放送されたことを明かしつつ、「歴史は繰り返し、『どうする家康』の後は再び文化人三部作となるかもしれません」と指摘した。
(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)
https://www.j-cast.com/2023/05/07460985.html
2023年05月07日11時00分
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Source: 芸能トピ