制作統括の熊野律時チーフプロデューサーは、めぐみを主軸とする展開について「朝ドラのヒロインの母親は後半、ヒロインを見守るだけの存在になり、存在感が薄くなることが多い。母親がここまで人生の大きな転換期を迎えることはなかなかない」と異色さを指摘する。
このエピソードが盛り込まれた理由の一つとして、ドラマを制作するに当たっての事前取材があった。
熊野氏は「物語の舞台になっている東大阪をはじめ、京都、奈良、東京の100社以上の町工場に取材させていただいた。その中に、夫を亡くした妻が町工場の危機を迎えて奮起して、工場を立て直したという話がいくつもあった」と明かす。
そんな事実が、物語に求められる要素のひとつに合致した。
熊野氏は「この作品では、祖母・祥子(高畑淳子)、めぐみ、舞という女性三代の三者三様の人生を大事に描きたかった。3人が荒波の中でどう生きていくのかという中で、めぐみは夫を亡くして大きな変化を迎え、眠っていたポテンシャルを存分に発揮して、社長として会社を率いていく。自ら変わろうと決断すれば変わることができる。そういう意味でのある種の夢や希望、たくましさをめぐみのキャラクターに託した。舞は母親の背中を見て、それを受け止めて、変わっていく。めぐみの背中が、舞がもう一度舞いあがっていく時の原動力になれば良いと考えた」と説明する。
めぐみは元々、祥子の強い反対を押し切って駆け落ち同然で浩太と結婚し、悠人(横山裕)と舞を育てながら、町工場の仕事を手伝うという、たくましい面を持っている。
熊野氏は「そこは、やはり祥子の娘。ある時期は支える側に回ることを選択して生きていたが、自分が表に立つ必要に迫られた時には、祥子のセリフにもあったように『ばか力』を発揮する。めぐみがそういう人物であるなら、舞もそういう人物であるだろう」と話す。
そんなめぐみのキャラクターを支えているのが、永作博美の芝居だ。
「この展開があることもあって、めぐみ役を永作さんにお願いした。めぐみは、もろさと強さを持っている。夫の急死を知った時は事態を飲み込むことができずに崩れ落ちた。そこから前を向き、母親として深い愛情を持ちながら経営者として会社を担っていく。そのひとつひとつのお芝居が素晴らしく、何度見ても心を震わせられる。永作さんのおかげで、共感していただけるものになったと思う」と話す。
楽しみなのは今後の展開だ。舞は実家の危機で、夢だったパイロットへの道から外れてしまった。しかし、会社を立て直した後はどうするのか。祥子、めぐみの強さを受け継いでいるのなら、再び大きな夢を抱くに違いない。そして、次の恋の相手は…。
◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合コンテンツ部専門委員。テレビやラジオ、映画、音楽などを担当。
1/19(木) 9:00配信 スポニチアネックス
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Source: 芸能トピ