◆「音楽配信が広がった」…若者はスマホで聴く時代
「年々、インターネットが普及し、サブスクリプション(定額制)をはじめとした音楽配信が広がったことが一因となり、このような結論となった」。昨年9月末でCDの買い取り受け付けを終了したゲオHDの広報担当者はこう理由を説明する。同社では、1990年から中古CDの取り扱いを開始し、2003年くらいまでが買い取り、販売のピークとなっていたが、その後は減少が続いているという。DVDとブルーレイディスクの買い取り・販売と、レンタルCDは今後も継続する。
CDが発売されたのは、1982年10月1日。直径30センチのアナログレコードと比べ、12センチとコンパクトで、レーザー光を当てて反射光をデジタル信号に置き換えるため、雑音がないなどの長所があり、普及した。
日本レコード協会の統計によると、CDの生産金額は87年にレコードを抜き、98年のピーク時には5878億円となった。だが、その後は減少が続き、2021年は1232億円とピーク時の5分の1近くまで落ち込んだ。一方で、アナログレコードの生産実績は、12年の45万3000枚から21年が190万7000枚に増加するなど再び注目を集めている。
同協会が21年12月に実施したアンケートでは、音楽の聴取方法(複数回答)で最多は「ユーチューブ」(45%)で、「テレビ」(36%)、「定額制音楽配信サービス全体」(30%)が続いた後、「音楽CD」(25%)の順となった。音楽CDは19年の調査では42%だったのが大幅に減少した。音楽CDと回答した割合が多かったのは40~60代の男性で、10~20代の男女は、ユーチューブや定額制が中心だ。
CDはなぜ聴かれなくなったのか。「そもそもいまの10代は、家にCDを聴くための機器を持っていないのでは」と話すのはITジャーナリストの西田宗千佳氏。「若い世代が音楽を聴くのはスマートフォン。わざわざCDを買ったり、レンタルして録音することもしない」と説明する。
欧米と比べると、日本ではまだまだ音楽CDが占める割合は多いという。その背景にあるのはレンタル制度だ。CDを借りてダビングしたり、データとして取り込んだりして、安価に好きな音楽を入手することができた。それがいま、定額で自分の好きな音楽を聴くサービスに移行している。
◆「グッズ」の一つとして残っていく?
こうした状況で近年、CDの買い取りは苦境が続いてきた。西田氏は「売りたい人がいても買いたい人がいない。以前、(アイドルの)握手券付きのCDが人気を集めたが、そのCDが大量に中古市場に売りに出されるようになり、買い取りの値段が付かなくなったこともある」と指摘する。
アナログレコードの復権は、大きなジャケットやデジタルにはない音の温かみなどが再評価されたからだという。一方で、CDは「同等かそれ以上の音質のものが配信や動画で聴くことができてしまう。気になったらすぐ聴きたいというニーズに応えられていない」という。そんなCDに未来はあるのか。「愛着があり、グッズとして手元に置いておきたいという人にまだ価値がある。多様な音楽媒体の一つとして残っていくのだろう」と西田氏は予測する。
2023年1月6日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/223668
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Source: 芸能トピ