今期の春ドラマのラインナップは決して悪くはない。恋愛ものからミステリー、青春ものなどバラエティに富んでおり、役者もベテランから期待の若手まで幅広く起用。が、結果的にはどの試みも成功したとは言い難い。
一体春ドラマに何が起こっているのか? ドラマ事情に詳しい芸能関係者たちに取材をおこなってみたところ、2つの大きな理由が見えてきた。
1つは、ベテランまたは中堅俳優たちの勢いの陰りだ。
「今クールにおいて特徴的なのは、綾瀬はるか(37)や木村拓哉(49)など、これまで高視聴率俳優と言われていた人たちが軒並み苦戦していることです。キムタクは自身初の1ケタ視聴率を記録。柴咲コウ(40)と高橋一生(41)という大物ダブル主演の『インビジブル』(TBS系)に至っては、視聴率が6%台までダウンし、打ち切りの噂も出始めているほどです。
その原因を探っていくと、問題は俳優たちというよりストーリーのほうにあるよう。キムタクのドラマは、落ちぶれた元ボクシングチャンピオンが、高校の弱小ボクシング部を再生するという青春もの。『ドラゴン桜』(21年/TBS系)との既視感を指摘する声がありますが、『ドラゴン桜』ほどのパンチはないうえ、突然コミカル調に転じるなど軸もブレブレ。単純にストーリーがイマイチ過ぎて、脱落している人が多いようです。
また綾瀬はるかの『元彼の遺言状』(フジテレビ系)、柴咲&高橋の『インビジブル』は、どちらも犯人考察要素の入ったミステリーですが、『私でも犯人がすぐ分かる』、『天才犯罪者のわりには犯行が稚拙すぎる』など、ストーリーの薄さを指摘する声が多い。そのためベテランたちの重厚な演技だけが浮いてしまい、チグハグな印象を与えているようです」(テレビ誌編集者)
■なんでもかんでも大物で
一方で、こんな指摘をする芸能記者もいる。
「どんなにストーリーが微妙でも、かつての彼らならその魅力で押し切り、そこそこの数字を残すことができていたでしょう。しかし今は、ハマリ役をやれば『さすが』という声が噴出するものの、そうでない場合はちゃんとコケる。やはり人気やオーラも年相応になってきているため、何でもかんでも面白くできる、というほどのパワーはなくなっているのが現実です。
なのに彼らの過去の栄光にいつまでも依存して、合う合わないを考えず、何でもかんでも大物をキャスティングしなければならない。そんな安易なシステムも問題だと思います。これは裏を返せば、衰えたといえども彼らを超えるような若手が育ってきていない、ということでもあるのですが……」
ではもう1つの春ドラマ失速の要因は何か? それは俳優にとっても制作陣にとっても少々不運なもののようだ。
「コロナウイルスによる行動制限が緩和されたことが大きいと思います。ステイホーム期間中は地上波、配信系を含め、多くのドラマが社会現象になったように、やはり外出しなければその分、ドラマを見てもらえる確率は上がります。
でも今期はドラマの放送時期が、3年ぶりに行動制限のないゴールデンウィークと重なりました。旅行などで気持ちが逸れたことで、『今期のドラマはもういいや』と相対的に全て見るのをやめてしまった人も多い印象です。たしかに今期ドラマは何が何でも見たい、というものは少ないですが、外出自粛が求められているときであればもう少し視聴率が伸びたかもしれません」(芸能ライター)
つまり外出自粛というハンディを失い、今までのような甘い評価はしてもらえなくなったということ。今後は、ドラマの真の実力が問われることになるだろう。
2022年05月16日NEW
https://friday.kodansha.co.jp/article/243599
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Source: 芸能トピ