「Future――」はボーカルでギターの兄・西田蕉太郎さん(33)が14歳で作詞作曲した楽曲。弟・曜志朗さん(31)の悠然としたギターのメロディーに合わせ、蕉太郎さんの爽やかで力強い歌声が響く。
「5分くらいで作った」と蕉太郎さんは笑う。着想を得たのは意外にもミュージカルの名曲「虹の彼方に」。「Somewhere」からの歌い出しが美しいと、「Someway I can find the love」から歌い始めることにした。
両親が音楽好きで、蕉太郎さんは6歳、曜志朗さんは5歳でギターを始めた。同じく兄弟で活躍した英ロックバンド「オアシス」に衝撃を受け、小学生で路上ライブをするように。「親からお小遣いをもらったことはない。投げ銭で機材を買った」と振り返る。
兄16歳、弟14歳の頃、若手アーティスト向けの全国大会で奨励賞を獲得。レコード会社と育成契約を結び、3年後には上京したが、世界を目指す2人は日本語で歌うスタイルが合わず、すぐに富山へ戻った。
そこから約10年。兄弟は芽が出ず、鬱屈(うっくつ)とした思いを抱えていた。そして2020年のクリスマス、ためていた思いが爆発するかのように「くだらないこと」で大げんかになった。蕉太郎さんが大声で言いたいことを言い尽くした後、曜志朗さんが一言、「じゃあ結果出せよ」とつぶやいた。蕉太郎さんは単身上京し、2人は約1年、連絡を絶った。
大物との出会い
弟の一言が響いたのか、蕉太郎さんはSNSを通じて音楽関係者に積極的なアプローチをした。すると22年秋、運命が動き出す。蕉太郎さんは、交友があったロンドンのアーティストのライブに足を運び、意気投合。急遽(きゅうきょ)ライブに参加することになり、弟も英国に呼び寄せた。
さらに、オアシスなどを手がけてきた音楽プロデューサーのニック・ブラインに連絡すると、奇跡的に「1時間なら」と会えることに。「スタジオを案内してビールでも」という軽い雰囲気だったニックに熱い思いをぶつけ、その場で「Future――」を披露。「すばらしい」と、二つ返事でCDデビューが決まった。
そして24年1月のデビューから約1週間後、全英のシングルCDの売り上げ枚数ランキングで8位になった。一時はCDが売り切れ状態になり、SNSでも大きな反響があった。
「SAHAJi」は、サンスクリット語で「自然に成長する」という意味だ。20年以上前につけた名前だが、曜志朗さんは「今思えばぴったり。誰かに音楽を教わったわけでもないから」とほほえむ。「やり続けてきてよかった」と蕉太郎さんは達成感を感じつつ、満足はしていない。「最終目標はグラミー賞。日本人初の世界的なロックンロールスターになる」。彼らの真の“成長”はこれからだ。
読売新聞
https://news.yahoo.co.jp/articles/ff373ef69831768b6523a6b3625e4b025ab767df
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Source: 芸能トピ